子はなほも麻酔の中に梅雨夕焼 當麻幸子

手術は無事終わった。ひとまずは安心。麻酔が醒めるまで、暫くの安堵の時間。いつのまにか雨も上がった。手術に耐えた子供の寝顔が、病室から眺める夕焼けに浮かんでいます。俳句は他の詩形と違いフィクションでも伝える力を持っていますが、このシチュエーションは季語の部分は別として、やはり実体験が無ければ思い浮かばないでしょう。経験は力です。(『俳句通信』2001年8月号)(北野和博)