立葵あなたに駅はありますか 山本敏倖
この句を前にして心が揺れた。真っすぐに私に問われている気がして。そして、気が付くと答えを探していた。私に駅はあるのだろうか。子供の頃、庭に咲いていた立葵。記憶の中の立葵が風に揺れている。質問の主は作者では無く、立葵に質問しているのでもなさそうです(一見そのように読めますが)。また立葵が作者に質問しているのでもなさそうです。ふと、心に湧いて出た言葉でしょう。でも、質問されているのは間違いなく、読者である「私」です。(『現代俳句協会ホームページデータベース』より)(北野和博)