白粥のつめたき百合の昼下り 摂津よしこ

客に冷たい粥を出す店はないから、自宅の昼食だろう。自分ひとりだからわざわざ温めることもない。「冷たき」と漢字で書くと冷蔵庫に入れていたような冷たさになるが、「つめたき」とひらがなで書くことで室温の粥、つまり朝食の粥の残りだと読み取る事が出来る。昨夜の残り物なら今の時期は冷蔵庫に入れるはずだから。家族の出かけた台所、淋しさの中にも百合の香りが漂い、ひとりの落ち着いた時間が流れている。(句集『珈琲館』ふらんす堂)(北野和博)