この情景は面談の前か後か。どちらと読むかで掲句の持つイメージは大きく変わります。まず前と読むと。窓の外では強めの雨がふって、雨音が聞こえてきます。椅子は整然と向き合って置かれています。誰も居ないながら部屋には緊張感が漂ってきます。次に面談の後と読むと。小雨の日のしっとりとした空気の部屋。そこに残った一対の椅子は位置が少しずれています。誰も居ない部屋には安堵の混じった落ち着いた時間が流れています。私は終わった後と読みたいですが、皆さんはいかがですか。(『風土』2006年09月号)(北野和博)