草摘んで戻れば又もわが家なる 星野立子

 

 

 

蓬や土筆などの糧になるものを摘む場合も、草花を遊びで摘む場合も、季語は「摘草」である。掲句が前者の「摘草」であれば、家に帰って台所で糧として草の下ごしらえをし始めた時に、「わが家」と感じただろう。後者ならば家が見えて来たあたりから夢から醒めて「わが家」と感じただろう。どちらにしてもこの句の「わが家」は、作者にとって決してやすらぎの場所ではないことは「又も」から容易に読み取れるのである。(『現代俳句歳時記』実業之日本社)(K.K.)