花冷の少しありつつ雨上る 稲畑汀子

 

 

書かれている事は、日常生活の些細な出来ごと。それを、「ただごと」にならずに上質な俳句に仕立てる手法の確かさ。季語の持つイメージ、質感を知り尽くしているから出来る名人芸である。噛めば噛むほど味がある句。ご賞味あれ。(『ホトトギス』2004年3月号)(K.K.)