花は雨宿し雨滴は花宿す 山田弘子

 

 

シンタックスが対になっている構文に目が行きがちだが、面白さはそれだけではない。写真に例えるなら、広角レンズで撮った風景写真ではなく、マクロレンズを使った接写写真の様な句。云われてみれば確かにその通り。花びらから雨が滴る様は、花が主体とも、雨が主体ともいえる。花に顔を近づけて。手を伸ばせば雨滴に届きそう。 (句集『春節』日本伝統俳句協会叢書)(K.K.)