海の風来て三月の乱れ髪 桂信子

 

 

 

どうやら自分のことを書いたのではなさそうです。もし、自分の髪が乱れたのなら、「髪乱れ」となるはずです。傍にいた女性の潮風で乱れた髪型に、作者は妖艶な美しさを感じ、とっさに与謝野晶子の歌集の「乱れ髪」という言葉が浮かんだのでしょう。いや「三月の乱れ髪」までが一つのフレーズとして浮かんできたのかも。句集『花影』1996年立風書房)(K.K.)