雨昏き啓蟄の穴不眠のこり 丸山海道
啓蟄は二十四節気のひとつで、三月六日頃。土籠りしていた虫が地中から出てくる頃という意味。あくまでも時期、気候を表す言葉なので、掲句の穴は虫が這い出た跡と読まなくても良い。どこかにぽっかりと空いた意味不詳の穴と読むと、「不眠のこり」が良くわかります。私は掲句を読んでビートルズのフィクシング・ア・ホールの歌詞を思い出しました。I’m fixing a hole where the rain gets in and stops my mind from wandering where it will go.(雨が入ってくる穴を修理していて、私はそれがどこに通じているのか考えるのをやめた。) (『京鹿子』1999年5月号)(K・K)