アダ名無き教師の机二月尽 塩見恵介

 

 

アダ名が付かない教師とは。生徒に一目置かれていたのでしょうか。それとも影が薄いのでしょうか。どうやら後者のようです。みなさんも学生時代の記憶を辿ってください。印象が薄い生徒がいるように、印象の薄い先生もいるのです。もう学期も終わろうとする二月末。この教師の机は意外にも塵ひとつなさそうな気がします。ちなみに、作者が自分の事をユーモラスに描いたと解釈すると、この作品の凄みが消えてしまいます。生徒目線で捉えましょう。印象の薄い者だけが持ちうる印象の残像、とでも云いましょうか。 (句集『虹の種』蝸牛新社2000年)(K・K)