冬虹のいま身に叶ふ淡さかな 飯島晴子
この句の読みどころは「いま」でしょう。もちろんこれが無くても作品として成立しますが、「いま」が入るところが、実に飯島晴子らしい。みなさんは「いま」をどう読み解きますか。虹がだんだん薄くなっていまの色合いが丁度いい、とも解釈できるでしょう。でも、もともと冬の虹は淡いものなので、色の変化を捉えたものではなさそうです。また、作者の今の心境に叶うという解釈も出来るでしょう。私はいま、作者がこの年齢になったからこそ丁度いい、と解釈しました。年輪を経て、今だから初めてわかる佳さ、そういう物があるなら、歳を取ることも楽しいものですね。(句集『寒晴』1990年)(K・K)