寂しいは寂しいですと春霰 飯島晴子

 

 

春霰の音に耳を澄ます。「寂しいわ」「寂しいです」と二つの声が聞こえているのではない。『「寂しい」は「寂しい」です』、ときっぱりと言っているのだ。寂しいということは寂しいという事、それ以上でもそれ以下でもないし、救いを求めたりはしない。この毅然とした覚悟が飯島晴子の魅力であろう。 春霰の季語も良くマッチングしている。(句集『儚々(ぼうぼう)』1996年)(K・K)