早梅の白さを見たり雨の中 阿部ひろし

 

 

本当は日が照っていた方が、太陽が反射してより白く見えるはずです。でも、作者は雨中の暗い景色の中に、花の内側から出る白さを見いだしたのでしょう。長い冬が終わって最初に目にした春の兆し。きっと命際立つ白さだったでしょう。

(『酸漿』2000年2月号)(K・K)