寒月光しばらく姥の灰神楽 摂津よしこ

 

 

「灰神楽」とは、火の気の残る灰に水気を落とした時に灰が舞い上がる様のこと。煮炊きに炭火が使われていた頃は日常的な光景だったのだろうが、摂津よしこの手にかかると、たちまち非日常の世界が露出する。冷たい月光に照らし出されたおどろおどろしい世界。何かの拍子に日常生活の見え方が変わる時、そこに詩が生まれる。(句集『夏鴨』1985年)(K・K)