大根を輪切りにするも谺して 摂津よしこ

 

 

この「谺」は、山彦の谺ではなく耳の中の残響のこと。この一言で、静かで冴えた朝の空気や、大根の断面が朝日に輝いている様子が目に浮かぶ。派手さはないが、さすがは摂津よしこである。(『夏鴨』1985年)(K・K)