終バスの一人降しぬ鴨宿に 摂津よしこ

 

 

終バスが降ろした性別不明のひとり。鴨宿にと決めつけて書いてあるところをみると、付近には他に人家の明かりはないようだ。鴨池などどこでもある。観光目的ではなさそうだ。鴨宿で今夜何かがあるのだろうか。濃厚な物語がくっきりと始まってゆく。 (『夏鴨』1985年)(K・K)