この暗き海鳴りの町日記買ふ 黒田杏子

 

 

作者は旅の途中で日記を見つけたのだろう。都会に帰れば気の利いた日記が沢山売られている事は分かっているが、海鳴りのするこの町で出会った日記を買いたくなったのだ。作者は宿に帰ったらさっそく書き始めるだろう。海鳴りのする暗い宿で旅の一ページを綴るのだ。(『現代俳句歳時記』ハルキ文庫)(K.K)