倒れ木の跨げば触れてそぞろ寒 岡本眸

 

 

十月も中旬になると、日によって急激に季節が進む日がある。脚に触れた倒木が冷たくてそぞろ寒と感じたのだろうか。いや、そぞろ寒の風景のなかに倒木があり、触れることでそぞろ寒の風景の中にいることの実感したのだろう。俳句を読むときは、歳時記の世界観の中に身を置いて楽しみたい。(『朝』1999年2月号)(K.K.)