歩くことなき歩を揃へ稲架の馬 田中美幸

 

 

稲架(はさ)とは、稲を天日乾しするため、木を組んで横木を渡したもの。最近はコンバインで収穫するため、見かけることも少なくなったが、少し前まで収穫の喜びを象徴する秋の風物詩であった。そう思って掲句を読んでいただきたい。稲架の形を馬に例えた句であるが、木組みの馬も実りを喜んで、今にも歩き出しそうな。(『狩』1999年11月号)(K.K.)