まだ母の円周にゐて鳳仙花 奥田筆子

 

 

機智に富んだ句。鳳仙花の種がはじけ散る様子を、母(花)子(種)に例えて詠んでいる。花の周囲に種が飛ぶから円周上に子がいる。でも、私は敢えてそう読まずに、公園での実景として鑑賞したい。お母さんの傍で幼子がよちよち歩きしている。鳳仙花がその様子をそっと見守るように咲いている。こんな誤読もいいでしょう。(『京鹿子』1999年11月号)(K.K.)