春泥へ鉄階下る非常口 村上沙央

 

 

非常口だからコンクリート敷きではなく、降りた先は土なのですね。普段からたまに使う事がある非常口。でも、これば予想できなかった。こういうシチュエーションを切り取るのが、俳句でいう発見なのですね。光景が目に浮かびます。もちろん泥が見えても作者は引き返しません。多少靴が汚れても、季節の変わり目を足裏で感じる。それが俳人というものですから。 (『狩』2001年12月号)(K・