冬の月船の霧笛の上に出る 後藤立夫

 

 

季重なりなどと野暮なことは言わないで。季語が喧嘩しなければいいじゃありませんか。霧で船が見えないが霧笛で存在感を出している船。霧の切れ目に姿をあらわした冬の月。主人公の立ち位置によっては矛盾するような情景だが、美しくイメージが立ちあがる。(『ホトトギス』2015年5月)(K.K)