ベンチにて何読む人か散る紅葉 渋谷ひろ子

 

 

絵に描いたような風景である。凡庸といってしまえばお終いだが、「本を読む人」とせず、「何読む人か」とすることで、人物が活き活きと立ち上がってくる。凡作と佳作は紙一重だが、人間を離れて芸術はない。(『酸漿』2010年1月号)(K.K)