めつぶれる瞼や風邪のタイピスト 山口誓子

 

 

書いてないけれど、マスクをしているのでしょう。だから誓子の目に留まったのかもしれません。タイピストが目を瞑ったら仕事になりません。それでも辛くてほんの少しの間目を瞑ってしまいました。もちろんその間もタイプを打つ手は休めるわけにはいきません。鋭い観察でありながら、人間への暖かい眼差しが感じられます。(『定本山口誓子全句集』集英社)(K.K.)