ただ過ぎし道にいろなく蛇苺 森谷彰

切れ字をどこに入れて読むかで解釈が変わる句。中の句の後にいれて、道がいろなくなのか。道にの後に入れて、蛇苺に色がいろなくなのか。ただ過ぎし道、は人生の比喩とも、バスに揺られてぼんやりしている状態とも取れる。「いろなく」は趣がないのか、色が付いていない意味なのか。どの解釈でも面白く読めてしまう困った句ではあります。(『銀化』2000年9月号)(北野和博)