水に浮く蛾が生きていて西日さす 桂信子

 

 

蛾は生きている。そして間もなく死ぬ。そこへ西日がさしている。むろん西日は辺りくまなくさしているのだが、命の終末を残酷にかつ鮮やかに、そこだけを照らしているかに見えて。(『角川春樹編現代俳句歳時記』ハルキ文庫)(K.K.)